プレゼントイメージ

娘からもらったプレゼント

まだ娘が小学生だった頃の話です。
当時私はまだ30代前半でしたが、主人が職人のため収入が安定しなかったことから、いろんなバイトやパートを掛け持ちして、懸命に生活を支える毎日を送っていました。
毎日本当に忙しくて、子供の誕生日すら忘れてしまうことも多く、自分の誕生日なんて、もう何年も祝ったことなどありませんでした。
ある夏の日のことです。
娘が夕食の用意をしている私のところにやってきて、「おかあさんの誕生日ってあさってだっけ。」といいました。
ふとカレンダーをみやると、たしかに2日後が私の誕生日でした。
「うんそうよ。」と答えると、娘は「ふーん、わかった。」といって向こうへ行ってしまいました。
何が聞きたかったのかしら、とちょっとだけ疑問に思いましたが、家の用事やら何やらで忙しく、そんな会話があったことも、完全に忘れてしまいました。
そして、その2日後のことです。
夕方、パートを終えて家に帰ると、いつもには帰ってきているはずの娘が家にいませんでした。
娘が愛用している自転車がなかったので、きょうはお友達とどこかにでかけたんだな、と思いました。
しかし、あたりが薄暗くなっても娘は帰ってきません。
「どうしたんだろう。」と不安になったころに、玄関先に自転車を停める音が聞こえました。
玄関先に出ていくと、そこには泥だらけの姿で半ベソをかいている娘がいました。
よく見るとひざこぞうはすりむけていて、血がにじんでいます。
びっくりして駆け寄ると、娘はわあわあと泣きだしました。
「おかあさんの誕生日に、おかあさんが好きだって言ってた山に咲いているお花をプレゼントしようと思った。頑張って取りに行って、お花をたくさんとってきたけれど、帰り道の山道が急で、自転車ごと転んでしまった。ほとんどが折れたり、飛び散ったりして、ちょっとしか持って帰ってこれなかった。ごめんなさい。」と言います。
彼女の手を見ると、お花のついた木の枝が数本握られていました。
そういえば何日か前に一緒に山道を散歩したときに、「おかあさん、この花が好きなのよ。」と何気なく娘に言ったのが、そのお花でした。
娘はお金がないなりに、私の誕生日を祝おうとしてくれたのでしょう。
その気持ちがとにかく嬉しくて、傷の手当てをしながら、思わず目頭が熱くなりました。
もちろんお花は、大切にお部屋に飾りました。
後にも先にも、気まぐれな娘が誕生日プレゼントをくれたのはそのときだけですが、私には一生忘れられないプレゼントです。

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